ネタバレあり。
あとで自分が見返すためのまとめなので、レビューというより雑記となります。
総プレイ時間。 総合得点。
約60時間。 ★★★★★★★★☆☆。
I章終了時点でのキャラの印象。
藍>雫≧真琴>里奈>凛。
今作終了時点でのキャラの印象。
藍>里奈>真琴>凛>雫>優美。
プレイした攻略順&おすすめ攻略順。
序章→I章→(II章)→真琴→凛→里奈&優美→里奈→雫→IV章→藍→V章→VI章。
好きなシナリオ順。
VI章>IV章>凛≧V章>雫≧里奈>(II章)>里奈&優美>I章>序章=藍>真琴。
序章 O wende, wende Deinen Lauf Im Thale Blüht der Frühiling auf!
「幸福の先への物語」
以前プレイした素晴らしき日々に感化されたのが購入のきっかけだったりするのだが・・・まずテイストがあまりにも違うことに驚きを隠せない。
すかぢさんシナリオは今作で2作目だが、まともな作品を描けない人とばかり思っていたww
・・・これ面白くなるの?というのが現状での本音だったりする。
物語は伏線貼りつつこれから始まっていく感じだろうからまだ何とも言えないが、なにが酷いって親友である圭があまりにも煩わしい。ギャグが寒いのは百歩譲るとしても、あの喋り方が嫌でも鼻につく。藍も圭と同じ喋り方をするきらいがあるが、圭の場合は強調して語尾を強めているのがほんとうにいただけない。ADVでは欠かせない大事な親友ポジションがこれっていうだけで作品に対するモチベーションが一気に削がれてしまう。
あともうひとつシステム面の話だが、オートモードにするとキャラが喋ったあと次のテキストに移行するまでが異様に長い。普段クリックをせずオートモードで読み進める身としはほんとうに痛い。昔のゲームならいざしれず、2015年の作品でこれをやっちゃいかんでしょう・・・。
とまぁ今のところお世辞にも面白いと言えない今作だが、思い返してみると素晴らしき日々も徐々に面白くなっていったし、すかぢさん作品は基本そういったテイストなのだろうか・・・そういったテイストであると信じつつI章へ。
I章 Frühlingsbeginn。
先に感じていた大きな不安、「これ面白くなるの?」という疑問が払拭され始めた気がする。
伏線ばかりでなんとも言えない状況かもしれないけれど、日常パートのドタバタ劇は心地よい。難を言えばキャラが、トーマス然り明石先輩然り・・・圭と同じく今後慣れてくるのだろうか。
いや正確に言えば圭への苦手意識はまだ強いのだけれど、直哉を含めた周りのキャラがしっかりフォローしてくれているお陰でまだ目を当てていられる。
というかそもそも、男キャラに限らずメインヒロインにあまり魅力を感じないのが致命的。いくらシナリオゲー(?)だからといってもキャラはもちろん大事なわけで。性格の問題だからこの先いくら進めようが変わらないかもしれないが、今後見方が変わるような展開・・・こないかなぁ。
分岐で真琴を選んだけれど、いつルートに入るのかな?
II章 Abend(真琴ルート)
という書き方であっているだろうか。分岐点である選択肢で真琴ルートに入るようにした。
とりあえず納得がいかない。どちらかというととかそんな生ぬるい話ではなく、直哉が言っていることが完全に正しいと思う。
二年も前から入念に計画して準備して決行したのは明石先輩であり、言ってみれば草薙健一郎と明石先輩の合作なわけで、それを大人の都合で変えられるわけもない。
・・・前の文章で、「完全に」と「思う」を一文に入れているのはわざとで、明石先輩の気持ちも痛いほどによくわかる。よくわかるのだが、どんな事情があろうと事実を捻じ曲げることは決してできない。
三流以下の考えだかなんだかしらないが、今この怒りの矛先は校長に向いている。
直哉はどのように納得したのか、はたまたこれから納得するのか。今後の展開に期待。
・・・それはそうと、長い。決してつまらないわけではないのだけれど、中弛みが半端なく感じる。伏線を張りつつ進行しているからこの長さでも納得なのだが、伏線だらけで気疲れしてしまった。
いつもならここらへんで、「疑問に思っていることリスト」なるものを書くところだが、頭の中でいろいろ整理できていないため今回はなし。
あとキャラにかんして。親しみが湧いてきたのか(一部のキャラを除いて)しっかりと受け入れることができた。優美は最初こそ好きだったが、だんだんと鬱陶s(ry
考察もなにもないけれど、先は長いしさくさく進めることとする。
III章 PicaPica(真琴ルート)
長くてダレて、何度ギブアップしようか思ったかわからない。というのが率直な感想だったりする。
そう感じてしまった要因は、「目標」と「知識」の二点が大きい。
目標というのは、なにを終着点として持ってくるのか。今ルートにおけるメインテーマはなにかということ。
当初こそ、直哉が再び筆を執ることが今ルートどころか今作品のテーマかと思いもしたが、それは(お遊びとはいえ)真琴の裸体姿を描くことによりあっけなく否定。
それじゃあムーア展で賞を取ることなのか、はたまた親子の絆を修復することか、いやいや圭との関係を・・・と模索していたら明確にならないままに終わりを迎えた。
キャラゲーだったらいざしれず、シナリオゲーだからという理由でひとつの大きな目標があると勘違いしていたのは自分の大きな落ち度だが、だからこそ話が取っ散らかりすぎていて非常に親しみにくかった。
・・・副題であるPicaPica、カササギの鏡、月と梯子、真琴から貰った寧が繰り返し読んでいた絵本。直哉と圭の才能を引き出すことこそが今ルート最大の目標だったのかなぁと今更になって思いもするが、プレイ最中そのことに気が付かなかった時点でその線は破綻していて、やはりメインテーマの一部として捉えることは難しい。
そしてもうひとつは知識。
絵画の知識ほぼゼロな自分にとって、ある程度の説明はありがたい。しかし度を過ぎた説明は最早苦痛でしかない。
正直に言ってしまうと、絵画に対する説明にあれほどの時間が割かれていたにもかかわらず、今現在頭に残っているのは2~3割程度。それは自分の頭が弱いからなのだが、だからこそ何度も途中で投げ出そうとしてしまった。
このふたつ以外に、お家騒動の件もなんだかなーといった感じ。
中村家だの夏目家だの鳥谷家だの、これほど込み入った内容ならば、先に過去の話をしてくれないといまいち重要性が伝わってこない。
まぁこれにかんしては他ルートにも直接触れていることだし意図があるものだと思うが。
あとひとつ、ルートに突入すると他キャラの出番が少なくなるのは勘弁してほしい。物語に関連するしないにかかわらず、そこは重要な部分だと思っている。
と悪い箇所をダラダラ書いたが、盛り上がらなかったといえば嘘にはなる。
(直哉の案とはいえ)真琴が麗華にふたつの選択肢を持ちかけたシーンは、真琴の人間性が上手に表現されていてグッとくるものがあった。
とりあえず気を取り直して凛ルートに。
II章 Abend(凛ルート)
なにはともあれ凛ルート。
凛と吹に対しては一種の違和感・・・というか腑に落ちない点が多々見受けられる。
吹は登場時から幽霊の類と考えているのだがどうだろう。真琴ルート初めに凛のことを冗談まがいで私のことは母親と~みたいなことを言っていたから、容姿からは想像もつかないが単純に母親ではないだろうか。
凛については直哉から情報が提示されていないものの、6年間疎遠だったことや凛が転校してきたときの驚く様。直哉となにかしら事情を知っていそうな雫はそのことについてあえて触れていないだけで、凛も幽霊ではないかと予想。
でもそれだと凛が引っ越してから直哉に送られた手紙の説明がつかないんだよなぁ。他の誰かが書いて送っていた可能性もあるけれど、凛にかんしては敢えて否定しておく。
なにはともあれ凛ルートはサクサク進められればいいなぁ・・・(遠い目)
III章 Olympia(凛ルート)
なにこれ面白い。真琴ルートが嘘だったかのような出来栄えに驚きを隠せない。ギブアップしなくてよかった・・・。
人形である吹を母親と誤認してしまう描写が足りていなかった。
吹はしょうがないかもしれないけれど、凛と父親の和解シーンはあってもよかった。
これほど完成度の高いストーリーだからこそ、そうした細かい点が気になってしまう。
だがしかし、それらががどうでもよくなってしまうほど夢中になれる展開が続き、全体的に満足度は非常に高いルートとなっていた。
最終的には凛にまつわる伏線が多々回収されたが、その後更なる伏線が。真琴ルートでもそうだったが、今作はそういったスタイルで進んでいくのだろう。
次は里奈ルート。優美が多少苦手だから不安ではあるが、今ルートのことを考えれば杞憂となるだろうと信じつつ。
II章 Abend(里奈ルート)
千年桜にまつわるお話。
伝記ものは苦手という理由からほとんど頭に入っていなかったり・・・進める上で取り残されないかものすごく不安。源平の戦いとあったから平安時代なのかな?(wiki参照)とかその程度のことしか理解していないww
とりあえず優美と里奈の出会い、里奈と直哉の出会い、そして千年桜と伯奇神社はどのように絡んでくるのか。今後の展開に期待。
・・・そういえば小牧がいつかの夏に千年桜を見たという話があったけれど、それは今回関係してくるのだろうか。
余談だが、獏というとうる星やつらの劇場版2作目、「ビューティフル・ドリーマー」を思い出す。
悪夢を見せる夢邪鬼と夢を食べてしまう獏。夢邪鬼=千年桜、獏=伯奇神社という構図が成り立つわけだが・・・いや余談が過ぎる先に進めよう。
III章 Marchen(里奈&優美ルート)
里奈ルートと思ったら里奈&優美ルートだったでござる。
素晴らしき日々の希実香ルートを形だけでも再現したかったのかなぁとか思ったり。
赤ずきんの話をテーマとしたのは好感が持てるものだった。それにより内容がわかりやすくなったとは決して言えないが、全体的にストーリーが鮮明になった気がする。
「優美の過去話長いよ!!」とプレイ中は辟易したが、今にして思うとあれはあれでよかったと思えるから不思議。
贋作云々どうなった。伯奇と義貞の話の続きは。そして直哉はいずこへ?
里奈ルートが楽しみ。
III章 ZYPRESSEN(里奈ルート)
「こんな狂った嵐の夜なら━━そうだな━━そろそろ花をつけてもいい時期だと思ってな」
里奈が直哉に惚れた理由がよくわかる。厨二病全回だけど格好良すぎですはい。
テーマは生と死。重すぎもせず軽すぎもせず、しかしながらテーマにしっかりなぞらえていて非常に読みやすい物語だった。
前に優美が苦手と書いたが、今でもやはり苦手なのは否めないけれど、結果好きにはなれた。苦手だけど好きというのは決して矛盾ではない感情のひとつ。
とまぁそれはともかく、千年桜は里奈と優美に過去の夢を見せてなにがしたかったのだろう。優美による憶測はあったもののそれは関連性のひとつ・・・関連性(ふたりの心情的な意味)はわかるけれど関係性(伯奇と義貞・里奈と優美)がまったく掴めない。
というのも、里奈=伯奇・優美=義貞という図が成り立たない気がしてならない。あまり重要なことではないのかもしれないし単に自分がなにか思い違いをしている可能性が高いけれど・・・単に現時点で過去の出来事をユーザーに見せたかっただけなのかも。
千年桜にかんしてはまだまだ謎が多いものの、現時点での決定的な事柄のひとつとして、吹に生命を与えたことが挙げられる。凛ルートの最後、雫と吹がなにやら意味深な会話をしているところをみると、雫の願いを千年桜が叶えたと思って間違いないだろう。
最後に、里奈かわいいですはい。
II章 Abend(雫ルート)
今作の肝といっても過言ではない草薙家・夏目家・中村家。徐々にその話にシフトしていくのかな?真琴ルートではよくわからなかったからなぁ・・・。
だが今はそれよりも直哉と雫、凛と雫の過去が非常に気になる。特に凛と雫。火事による記憶障害的なものだとは思うが、凛は雫のことを覚えていない(芸能人としての認識はあったのだっけ・・・?)にもかかわらず雫は呼び方まで指定してしまうほど思い入れがあるという、先が読めない展開にわくわくを隠せない。
・・・プレイ当初に退屈と感じていたことが嘘だったかのように、今はとっぷりハマってしまった。
III章 A Nice Derangement of Epitaphs(雫ルート)
壮大な、とても壮大な物語。
これまで張り巡られていた多くの伏線を一気に回収。こうして書くとそれだけで気疲れしてしまうように感じるが、構成が緻密で繊細で、引き込まれるように最後までプレイすることができた。
これほどのものを魅せられて、一体なにをどのような言葉にして文字に書けばよいのかわからないから、今回はこれにて。
スタート画面に「IV」と見えたから、永遠のようにも思えたIII章は終わりを迎えたということだろう。
次は誰の物語が展開されていくのか、期待に胸をふくらませつつ。
IV章 What is mind? No matter. What is matter? Never mind.
健一郎と水菜の馴れ初めのお話。
いやー素直に感動した。これほど感動したのはいつ以来だろう、涙と鼻水で画面が見えなくなってしまった。
このふたりが駆け落ちしている時の話もなにかしらの形で見たい、というのは自分だけでなく今章をプレイした者の大半は思うことだろう。そしてその後の雫との出会いも含めてすかぢさん是非!!!!
それはいいとして、健一郎が描いたマネのオランピアの贋作について。
確か夏目家に飾られているはずだけれど、破られたものを修復しているのかな?最初の方に直哉がいろいろ言っていた気がするけど覚えていない・・・。
V章はさすがに現在の物語になるだろうが、次はいよいよ藍ルートとなるのかな?
それにしても藍か・・・あんなことがあったのなら健一郎を慕っているのも頷ける。その他すべて、考えれば考えるほどよく出来すぎた作品だなぁと。
V章 The Happy Prince and Other Tales(藍ルート)
・・・藍ルートと書いてしまっていいのだろうか、他ルートと比べてあっさりしているというか最早完全に手抜き。ヒロインの中で藍が一番好きだっただけにテンションだだ下がり。
直哉を前に進めさせるため、いわゆる転換期を描いた今章。
始めこそ真琴ルート再来と感じたが、吹との勝負でそれを完全に払拭。更にその後の急過ぎる圭の死によって、あれほど鳥肌が立った吹との勝負すら頭から消え去った。
伏線もほぼほぼ回収され、さぁこれからっていうときに一気に落としにかかってくるなぁ・・・。
V章 The Happy Prince and Other Tales。
圭の死によって雫の夢呑みの力が開放されたということだと思うが、今にして思えば圭のことがあまり説明されてない気がする。
藍がどこかで、「圭も夏目の人間だからいろいろな事情を抱えている」みたいなことを言っていたが、それは真琴ルートで説明されたことがすべてなのだろうか。
残すは最終章のみ。終わりに向かって一直線。
VI章 櫻の森の下を歩む。
II章の真琴ルートのときに書き殴った、櫻達の足跡の作者が誰であるかということ。
それ以降特に記述はしなかったがわだかまりは残ったままだった。待てども待てども明確な言及はなく、あれはあれで納得するしかないのかなーと思っていた矢先、まさか・・・ほんとうにまさかここで盛り込んでくるとは思わなかった。
今ならあの時明石が言った、「作者など関係ない、大事なのは作品がなんのために生まれたのか、それさえ見誤らなければ大丈夫」という言葉に大いに頷ける。
ということで終了。
実に長い作品、正直にいうと挫折しそうになったときもあった。
しかし今となっては、最後までプレイして心の底からよかったと思えるほど心が満たされている。
あれほどあった伏線もひとつひとつ綺麗に回収されていき・・・まぁ考えればいくつか残っているかもしれないが、今思いつかないものは誤差の範囲と思って問題ないだろう。
ただやはり気になるのは圭の過去や健一郎と雫の出会い。他にも数えきれないほどのエピソードが見え隠れしているため、次世代に移ってしまったのは早計かなという気がする。というのも、次作である「サクラノ刻」ではその語られなかったエピソードを期待していたからなのだけれど。
とはいってもVI章でみせた旧世代組と次世代組との折り合いはこれ以上ないほど上手に描かれており、「サクラノ刻」に期待せざるを得ない。
「幸福の先への物語」と聞いて、真っ先に思い当たるのが素晴らしき日々。だが今作はそれとはまったく別のところにあったと思う。テイストからして違うのはもちろんだが、素晴らしき日々と比べるのは見当違いな気がしてならない。
最初に書いたように素晴らしき日々に感化されて今作を購入したが、ほんとうにいい意味で裏切られた気分。
・・・・・・美術部での合宿話とか見たかったなー(ボソッ
いつも通りネタバレはあまり書かないつもりだったが読み返すとネタバレのオンパレードになっていて、読みづらい文章になってしまった気がする。
なにはともあれ次回作期待しています。